山仕事創造舎では、国有林の仕事もしています。
大町市の国有林で、間伐事業地の間にあった樹齢150年の天然生のネズコを伐りました。
元々あった天然林を伐採しスギやヒノキ植えたときに、伐採区画の間に伐らずに残されていた木です。
今回伐採したのは、痛みのある木や、他の木の成長の妨げになると判断した木など、ごく一部です。
ここに人が来て伐採をはじめる前には、樹齢数百年を超える、巨木が立ち並んでいたのかもしれません。
いま残っている木を見ると、低い位置に太い枯れ枝があるので、どうやらこの木が若いころには周囲には大きな木が無かったようです。
おそらく150年前にこの森林が皆伐されたあとに育ってきた木です。
周囲の造林地はまだ50年にも満たない若い林ばかり。中間の100年生くらいの木はありません。
150年の間に少なくとも一回は周囲の木が皆伐されたようです。
150年前に芽生え、100年生くらいのころの伐採でも残され、今回も伐られなかった木はさらに次の世代に渡されます。
明治、大正、昭和、平成を経て、令和を超えて、生きて行くのです。
伐根の直径は1m以上
年輪幅は1mm以下、安定してゆっくりとした成長を続けてきました。
このような年輪が緻密な天然のネズコは、下駄になります。
ここでの主な仕事は若いスギ林の間伐です。国有林ではこのように一列伐って3列残すような列状間伐を行っています。
このスギはこれから何年かけて、どのくらいの太さまで育てるのか。
国有林は人里離れた奥山に多い印象ですが、ここ鹿島山国有林は里山の続きのような近いところにあります。
近代化、戦争、復興と経済成長、国有林は国家の木材供給を支える役割を担ってきた時代がありました。
いまでは、貴重な天然木をはじめとする資源と、環境を保護する役割への期待も大きくなっています。
私たち国民は、森林所有者です。
国の歴史をはるかに貫いて生きてゆく森林。
その森林のあり方を決めるのは、私たちです。
国有林の紹介