市民タイムスの読者の方は、広く中信エリアにお住まいかと思いますが、皆様は松本市にある美鈴湖をご存知でしょうか。
その昔は冬には結氷し、ワカサギ釣りやスケートを楽しめる場所だったと聞いております。かなり厚い氷が張っていたそうで、車を走らせることもできたとか。近くにはスケート場もあり(現在は自転車競技場)、国体の際の会場でもあったそうです。
私が勤める柳沢林業は、この美鈴湖にほど近い「もりの国オートキャンプ場」を、この春から運営していくことになりました。
これまで森林整備、大木の枝おろしや伐採などの工事を主としてきた私たちが初めて接客業を手掛けるということで、期待半分不安半分、オープンを目前に控え、立ち上げ準備に大わらわです。
同じ地区に会長の自宅兼事務所があったことから、過去にもご縁のあったエリアですが、キャンプ場を始めるにあたって足を運んでみると、実に魅力的なところだと改めて感じます。
農業用水の確保が難しかった東山地域において、貴重なため池として築かれた美鈴湖。古くは芦の田池と呼ばれ、その歴史は安土桃山時代にまで遡るそうです。周辺には豊かな森林が広がり、本郷村の時代から大切に育てられてきたことが伺えます。
松本市の東山部に広がる山林は、西日が当たることから「アテっ木」と言われる少々癖の強い木が育つ傾向にあるのですが、美鈴湖がある三才山地区は山のひだが複雑で様々な方角を向いており、材木としての価値も高い木が比較的多いという印象です。
美鈴湖のほとりには桜の木が植えられ、今が満開、湖面の色とのコントラストで美しい景色が広がっていました。周囲の森林内には遊歩道もあって、少し整備が行き届いてない感じもありますが、これからキャンプ場を展開する立場としては、周辺に広がる森林もお客様に楽しんでいただけるように、関係者のみなさまと整備を進めつつ、多角的な利活用を提案できればと考えています。
今回はこれから関わる美鈴湖周辺について書いてみましたが、意外と知らない地元のいいところってまだまだたくさんありますよね。観光県として名高い長野県ですが、地域の人が「こんな良いところ」って自慢でき、その良さを味わっていることが私は一番の「おもてなし」だと考えています。
コロナ禍で他県への移動が憚られるご時世ですが、それをむしろ逆手にとって、こんなときこそ地域の宝を再発見する楽しみを味わってみませんか。
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