先日、NHK WORLDのCYCLE AROUND JAPANという自転車で旅しながら日本の姿を海外へ紹介する番組で、善光寺から伊那までの信州の風景が放送されました。松本では私たちの工房へ立ち寄る様子が紹介され、美しいカラマツの晩秋の姿とともに、曽祖父から受け継ぐ木工のこと、ここ十数年情熱を注いできたカラマツ家具のことを話題にしていただきました。
オンエアをみて、改めて地域の気候風土と歴史、その象徴として木材がつないでくれる営みを感じるひとときでした。終戦後の荒廃した郷土に一株一株植えられたカラマツの苗木。風や雪に耐えて見守られながら一年一年大きくなるカラマツの幹。伐期を迎えて一本一本細心の注意を払われながら倒され、携わる一人一人の手によって人の暮らしを支えてくれる尊い樹の命。
職人の世界では「前の人への感謝」と「次の人への思いやり」を大切にするように習います。最近ではそれは植えられた木から作られる木材にも同じことがいえるように思います。当たり前に、使えるように植えて育ててくれた人への感謝があるとして。これをどうやって次へと繋げるのか。林業に携わる人たちからは「もうカラマツは植えない」という話も聞きます。一生懸命工夫をしてカラマツ利用の船出に関わる身としては多少複雑な思いでそれを耳に入れつつ本当に次世代の人たちにとって何が良いことなのか、何を伝えていくべきなのかを深く考えるようにしています。
日本語での放送はありませんでしたが下記のURLが一定期間有用ということでしたので、視聴できるようでしたら是非是非ご覧ください。おやきやおそば、ワインに胃袋を刺激されながら、第二の工房から眺める有明山に踏み入る映像にも目が釘付けになりました。
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