ソマミチツアー2017

2017年11月4日、5日の二日間、初めて一泊二日のソマミチツアーを開催しました。

ツアーレポートにてその日の様子をご覧ください!


ツアーレポート<前編>

ソマミチツアー2017、終了しました!
山から街まで、ぐぐっと濃縮して楽しんだ2日間のレポート・前編をお届けします。

 

11月4日朝、松本市岡田の里山にある、ヤマト牧場に集合。まずはストレッチなどして、スタートです!

最初は伐倒から。伐採地まで周りの木々を見ながら歩きます。周辺の木々の案内役は、山仕事創造舎の香山さん。

今回は、枯れてしまったアカマツを伐ります。伐倒前には、お神酒を捧げます。

今回の伐倒担当は、柳沢林業の小山さん。何と、ウェディングドレスも縫えるのだとか!(その周りは林業女子のみなさんです)

山の神様に、ごあいさつ。

伐倒方向を決め、その方向に正確に受け口(うけくち)をつくっていきます。

これが、受け口。

受け口を切ったら、見学者は安全な場所に退避。その後、反対側から追い口(おいくち)を切っていくことで、受け口側に木が倒れます。つるという、ドアの丁番のような部分を残し、安全に伐倒します。

伐倒の瞬間をGIFアニメにしてみました。

倒れました!

切り口を触ってみる、参加者のみなさん。

年輪を数えると、80歳!

年輪の詰まりぐあいで、この木が生きてきたプロセスが分かります。「周りが込みあってきて生育が悪くなっていたけど、周囲が間伐されるなどして、再び成長できるようになった」「老齢になってきて生育が悪くなっていた」など、少ない手がかりで難事件を解決する探偵のようです。
こういった木の特性を把握しながら、無駄のない形で活用できるよう、長さを決めて玉切りにしていきます。

アカマツが弱ると、はじめに青変菌が侵入し材に青模様が入ります。枯れてしまうと、腐朽菌という材を腐らせる菌が入り、次第に朽ちていきます。木材業界では長年、この青模様を「アオが入った」といい、使い物にならないとされてきましたが、青変菌が入っただけの状態では強度・安全性には問題がありません。近年、この自然由来の青模様を「ブルーステイン」と呼び、一つ一つオリジナルな模様を積極的に活かした形で、家具や床板等に利用が進められています。


伐採に関しては、こんな感想を参加者さんからいただきました。「山に入って木を倒すところを初めて見て、衝撃を受けました。本当に命があって、それを使わせてもらっている感覚になって、製品化されているとあまり考えることがありませんでしたので、現場を見たときに一つの命をもらっているのだと知ることができました。」
 

この日は、小雨がぱらつくお天気でした。

お天気だと松本平が見渡せるのですが、こんなしっとりした日もまたいいですね。

素敵な秋の一日です。

さあ、伐採したら、搬出しなければなりません。(今回、伐採した木と搬出する木は別の木です)

まず、人力で搬出を試みます。

8名で何とか1m弱ほど動きましたが、断念。

ヤマトに登場いただきましょう!

重量物を引く「ばんえい競馬」の輓馬(ばんば)だったヤマト。輓馬は普通の馬のサイズよりゆうに一回りは大きくて、今回最年少参加者・2歳のMちゃんは最初「…うし?」と言っていました(笑)。ヤマトは、ばんえい競馬を引退後、林業の世界で第二の人生(馬生)を送っています。やっぱり育ちは隠せないのか、馬具をつけると、気合いが入るのだとか。

ちょっと横道にそれますが、これは別の日にくつろいで草をはむヤマト。確かに、気合いが入ったヤマトとは、目元が違いますね。

もう一枚寄り道。ばんえい競馬の頃のヤマトの写真が、馬房に飾ってありました。かっこいいなあ!

さあ、馬搬に戻りましょう。柳沢林業の馬飼さん…じゃなくて犬飼さんの「GO,ヤマト、GO!」の声で、ヤマト出発!

人間8人で引いてもほとんど動かなかった材を、ぐいぐい引っ張っていくヤマト。

「一馬力」のパワーを目の前にすると、圧倒されます。

と思ったら、ゴール間近で立ち止まるヤマト。どうした?

あ、道草食ってる!

自分で燃料も補給するなんて!みんなつい笑っていました。山にいる馬。馬がいる山。今の林業は重機がなくてはならないものになっていますが、ミクロの視点で見れば、違った解決方法だってあるのだと思います。

搬出したのは、先日の台風で倒れてしまったカラマツ。倒れた衝撃で、ヤニが出ています。明日、田中製材さんで製材しますよ!

さあ、戻ってお昼にしましょうー!

今日のソマメシは、ヤマト牧場の地元・岡田のおかあさんがつくっているお弁当と、ソマミチ代表で猟師の原薫さんがどこかから調達してきたいのしし入りのしし鍋です。

冷えた体に、たき火があったかい。

食後には、自己紹介タイム。

ちょっと小道具を用意して、みなさんの意外な一面を知る自己紹介をしました。

ユーチューバー志望の小5男子や、今日お誕生日の方、井戸を掘る方も。木や建築に関わる方だけでなく、教育関係の方たちも複数ご参加くださいました。木や山の活用を、多面的に考えられるつながりが生まれていきそうで、楽しみですね。

さあ、午後の部開始!

午後は、グリーンウッドワークに挑戦です。

グリーンウッドワークとは、森から伐採したばかりの生木を使ってつくる木工。大きな機械は使わず、主に人力で割ったり削ったりして小物や家具をつくります。現代では、木材は乾燥させてから加工するのが一般的ですが、昔は切ってそのまま利用していました。旅をしながらその土地の木を切って木工をする職人さんもいたんだとか。


削り馬(シェービングホース)という道具に木を固定して、銑 ( せん、 ドローナイフ)という、両手に持ち手のついた刃物で削っていきます。
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これが、単純なようでいて、ハマるんですよ。

ソマミチメンバー、家具作家・指物師のアトリエm4前田さんも。

太い木は、万力(まんりき)という道具で、割ります。

「クリは割りやすいね、サクラは固い!」「生木なら割れるけれど、乾燥した木はなかなか割れないんだね」頭でなく、体で理解したそんな知識で、木との距離が近づいていくようです。

穴を開けるのも、手回しドリルで。インパクトドライバーなら簡単ですが、手回しドリルだと、体重の掛け方などにコツが必要だったりします。

参加者さんのお言葉によれば「原始的(原点的)な加工方法で木に触れることで、木について言葉にならないものを感じることが出来た。」
その昔、木と人は、近しい関係だったのだと思います。それを、また新しい形で取り戻していけるといいですね。

雨が強くなってきて、細部までつくり込めませんでしたが、とりあえず今日のところはこんな形に。左前の、曲がった脚が色っぽいと評判でした(笑)。

ヤキイモたべるー!

残念ながらこの後雨風ともに強くなってしまい、
マシュマロを焼くのもそこそこに、宿に移動することになりました。

 

今回お世話になったのは、崖の湯温泉 薬師平茜宿さん。絶景のお風呂はもちろんのこと、移築された古民家など、見所たくさんです。

どうでもいいですが、ソマミチ代表・原さんと私たちの部屋は、室名がなんと「唐松」。

夕食です!

交流会のみご参加くださった方々の、自己紹介なども。

場所を移して、さらに話は続きます。

ソマミチ代表・柳沢林業の原薫社長より、一般社団法人化するソマミチの理念についてお話を。

 

山や木の話だけでなく、生き方のような話にもなったり。

新潟から移築されたという古民家の材はケヤキだアカマツだといいながら、夜は更けていくのでした。

二日目は後編に続きます!


ツアーレポート<後編>

一晩明けて、2日めの朝。山の中腹にある茜宿さんですから、とても冷え込みました。

朝一番のプログラムは、ソマミチ代表原薫さんによる朝ヨーガ。林業会社の社長でありながら、ヨーガのインストラクターの資格もお持ちです。前日かなり夜更かししましたが、たくさんの方が参加くださいました。ああ最近、自分の体と向き合ってないかも…などと思うとても豊かな時間。暖かい季節には、森の中で朝ヨーガしたいですね。

朝一番のプログラムは、ソマミチ代表原薫さんによる朝ヨーガ。林業会社の社長でありながら、ヨーガのインストラクターの資格もお持ちです。前日かなり夜更かししましたが、たくさんの方が参加くださいました。ああ最近、自分の体と向き合ってないかも…などと思うとても豊かな時間。暖かい季節には、森の中で朝ヨーガしたいですね。

朝食を食べたら、田中製材所さんからスタートです!

ソマミチメンバーの田中製材所常務・田中英光さんより製材についてのお話。昨日ヤマトが引いた材を、イベントの合間を縫って4tトラックで運んでくださいました。今日はそれを製材していきます。

今回の材木の一番玉(一番根に近い部分)は、atelier m4 の前田さんが家具に使うことになり、家具ならではの製材の考え方をお話くださいました。この写真、林業・製材・家具のプロフェッショナルの3ショット。ソマミチではあたりまえの光景ですが、一般的には、製材された板を買うだけの家具作家さんも多いのだとか。

機械始動前に、中まで入ってみました。参加者さんの後ろの「安全」と書いてある機械が製材機です。

ふたを開けてみると、大きな輪になったノコギリの刃が入っています。帯鋸(おびのこ)といいます。この大きな帯鋸を回転させ、製材していきます。

この帯鋸は、毎日目立てに出すのだとか!そんな一つ一つに、みなさん感心してくださいます。学校の教員をされている参加者さんもいて、子どもたちにどんなふうに伝えることができるか、熱心に考えてらっしゃいました。

製材担当は、田中製材所の若き工場長。

機械を始動させると、大きな音がして、みなさんびっくりされたよう。オペーレーターが材木と共に台車に乗って、前に進んでいくことで、鋸刃が入っていきます。

切れました!音が大きかったので、みなさん楽しめたかなと心配になりましたが、最後のアンケートで製材が面白かったと書かれる方も多く、やっぱり実体験することの大切さを実感。写真で見るのと実際に見るのでは大きく違いますよね。

大きな音に耳をふさいでいた2歳のMちゃんも、製材されたカラマツを触っています。昨日のおうまさんが引いていた木だよ。

製材された板を、パズルのように丸太に戻してみました。当たり前…なんだけど、なんだか感動。「おー」と声が上がります。

atelier m4 の前田さんが、テーブルのサンプルをお持ちくださいました。

山に生えていた木が、丸太から製材されて、洗練された家具になる。こちらも知識としては当たり前のことですが、2日間かけてそのプロセスを体験してきたみなさんは、また感慨もひとしおの様子。

地元のアカマツ、しかもブルーステイン材でギターをつくっている参加者さんもいて、色々な木材利用について話が弾みます。アオの部分には着色をしているそうですが、かっこいいですね!

続いてT&Tパネルの施工体験です。事務所前の手すり部分に施工していきます。before写真がこちら。

最初に、林友ハウス工業の森さんより、T&Tパネルの説明。T&Tパネルは、ソマミチメンバーの林友ハウス工業さんが開発した、信州カラマツの外壁材です。反りが出やすいといわれるカラマツですが、最新の乾燥技術と新しい形状、施工方法を組み合わせる事によってそれを克服。特許取得済みの新しい木壁材です。美しく高性能で、長期的に見れば経済性もあり、地域材の有効利用にもなることから、採用例が広がっているそう。新建材のサイディングが多くなってしまっている街なみを、ここから変えたいですね!

まず、試し打ち。カラマツは硬い材であることを体感してもらいます。小学生Tくんが挑戦です。写真右側は、ソマミチメンバーのクラシック一級建築士事務所・山本さん。Tくんと男性部屋で一晩を共に過ごしたみなさんは、なんだか深い絆が生まれているようです(笑)。

材には、下穴を開けてあります。下側の板を先に等間隔に張り、その間に上側の板を張っていきます。

最年少Mちゃんもお父さんと一緒に釘うちに挑戦。

「あー、曲がったぁ~!」「ほら、ちゃんと押さえないから~!」 と、みなさん和気あいあいです。

「うちの外壁の一部もDIYしてみたい。T&Tパネル、買えますか?」との声も。前日のグリーンウッドワークと合わせて、ものづくりの楽しさを感じていただけたようです。

完成間近!Tくん大活躍です。

完成しましたー!ということで、記念写真。地域材の有効利用、などといっても、頭の中で考えがち。今回はそれを実際に施工してみて、「手の中の素材として捉えることができた」というご意見もいただきました。

お昼は、地元のみなさんに人気のお蕎麦屋さん、白山さん。(駐車場の兼ね合いでご迷惑お掛けしました…。)信州ならではの、新そばの十割そば。県外からの参加者さんにもお楽しみいただけたようでよかったです。

午後はカラマツを使った住宅の見学です!ソマミチメンバー、山の辺建築設計事務所・宮坂直志さんの自邸兼事務所です。

宮坂さんご本人からご説明いただきます。数キロ先の山から間伐したカラマツを、構造から外壁、内装、サッシや下地に至るまで、徹底的に使い尽くした家です。木質断熱材で高気密高断熱化(Ua値0.38)した、省エネ住宅でもあります。山から街までのつながりを、まさに形にした事例に、参加者のみなさんも興味しんしん。具体的な住み心地やメンテナンスに対する質問があがりました。

建築家の宮坂さんが、「山を基準に考える」と言ったのがとても印象的でした。逆に、林業家である香山さんは、「家でどう使われるかが大事だ」と言います。そんな関係がつくられているのが、まさにソマミチの真骨頂。

事務所部分の壁は、カラマツのへぎ板。木曽の職人さんの手によるものなのだとか。

最後にご感想をいただきました。
・ソマミチの取り組みがとても分かり易く体験できるツアーだった。
 ・山から切り出した木を製材し、家具や家になるというストーリーを、一部実際に体験をしながらコンパクトに知ることが出来て、楽しく非常に貴重な体験が出来た
 ・申し込みをしてからずっと楽しみにしていたが、期待通り2日間わくわくと過ごすことが出来た
 ・たくさんの気づきがあり、とても貴重な経験をさせていただいた
 ・林業、製材、木工、全ての工程で得られるもの以上の価値があった
 ・ソマミチは、全ての工程それぞれの役割が切れることなく繋がる為に必要なことと思い、共感している
 ・もっと暮らしの中に木や木材が使われる様になって欲しいし、山側からもそういう仕組みやきっかけをもっと探索、提供していきたいと思う

参加者のみなさんも、設計や木工に携わる方、教育に携わる方など、これからのソマミチをサポートしていってくださるだろう方たち。そんなみなさんと共に時間を過ごせたことが、何よりも素敵なことでした。
そして、山に入って、馬を見て、体験をして、製材を見て、温泉に入って、建築を見て…こんな多様な体験のすべてを30分圏内で体験できる松本。身近にあるから見過ごしてしまっている地元の魅力にも、もっと目を向けて生きたいですね。
社団法人化しさらなる進化を遂げるソマミチを、これからもよろしくお願いします!


ソマミチツアー2017 
山を感じ、木と戯れる2日間。

開催日:2017年11月4日(土曜日)~5日(日曜日) 一泊二日
訪問地:長野県松本市
定 員:20名

2017年のソマミチツアーは、山を感じ、木と戯れる2日間。
木を育てる・加工する・使うという3つのステージを、1泊2日にぎゅっと凝縮してお届けします!今回は、木を切ってみる、カラマツT&Tパネルを施工してみるなど、これまでになかった「体験型プログラム」を組み込み、より深く山を感じられるツアーとなりました。自分の手を動かしながら、感じて、考える。そんな2日間を、ぜひご一緒に。

ソマミチは法人化へ向けて動き出しました。一般社団法人として、ソマミチサポーターズ(仮)を募集していく予定です。木について、山について、ともに考える仲間とつながり、木を使う社会の仕組みと本当に豊かなくらしを形にしていきます。
今回のツアーをきっかけに、多くの仲間と出会いつながっていきたいと考えています。たくさんのご参加お待ちしています!


■ツアー概要
日程:2017年11月4日(土曜日)~5日(日曜日) 一泊二日
集合:11月4日(土)10:00 松本市岡田ヤマト牧場(徒歩5分に駐車スペースをご用意します)
解散:11日5日(日)16:00頃 松本市入山辺
宿泊:崖の湯温泉 薬師平茜宿(長野県松本市内田3405)

■タイムテーブル
4日:AM伐採見学・体験→PM グリーンウッドワーク体験→宿に移動後、交流パーティ
5日:朝ヨーガ→ソマミチサポーターズ(仮)説明会→AM製材見学・T&T施工体験→PM県産材利用住宅見学
※移動は基本的に自家用車となります。公共交通機関でお越しの方はお申し込み時にお知らせください。

■持物・服装
軍手・汚れてもよい服と靴・各自宿泊に必要なもの
※今回は体験型ツアーとなり、木を切ったり加工したりする予定です。作業ができる、汚れてもよい服装をご用意ください。

■参加費
ツアー参加費(保険料込)8,000円 + 宿泊費 14,000円(1泊2食付)
合計22,000円 
※一日目の朝に現金にてお支払いください。
※開催3日前以降のキャンセルは、宿泊費に対してキャンセル料が発生します。

■申込み
2017年10月18日〆切(先着順で定員になり次第締め切らせていただきます)
ソマミチウェブサイトの申込フォームよりお願いします。
https://www.somamichi.com/おしらせ/ソマミチツアー2017/
Facebookイベントの「参加」表明では正式な申し込みになりません。
※締め切り後に空きがある場合は、一日のみの参加を受け付けることがあります。

■注意事項
・安全には十分配慮致しますが、事故や怪我があった場合の補償については、保険の適応範囲内にて対応させていただきます。
・イベント中の写真をウェブサイト・SNSなどへ掲載することがあります。
・ご登録いただいた連絡先には、今後のイベント案内を差し上げることがあります。